不動産投資ローンは固定金利と変動金利どっち?金利上昇で返済額がどう変わるか
- MIRAIU

- 8月15日
- 読了時間: 9分
▪️不動産投資ローンは固定金利と変動金利、どちらが正解とは言えない
不動産投資で融資を受けるとき、「固定金利と変動金利、どっちがいいのか」と迷う人は多いと思います。
固定金利は金利が変わりにくく、将来の返済計画を立てやすい。一方、変動金利は固定金利より低い金利から始まる場合があり、当初の返済負担を抑えられる可能性があります。
ただし、固定金利だから安全、変動金利だから危険と単純に決めることはできません。
借入額が400万円の人と5,000万円の人では、金利上昇による影響が違います。返済期間が10年なのか30年なのか、家賃に対して毎月返済がどの程度なのか、手元に現金をどれだけ残しているのかでも判断は変わります。
重要なのは、「どちらの金利が得なのか」だけではありません。
金利が変わっても、その物件を無理なく持ち続けられるか。
この視点から固定金利と変動金利を比較することが大切です。
▪️まず固定金利と変動金利の違いを整理する
固定金利は、一定期間または返済期間中の金利が固定されるタイプです。契約した金利が続く期間については返済額を予測しやすく、長期の収支計画を立てやすくなります。
一方、変動金利は市場金利などの動きに応じて、適用金利が見直される可能性があります。低い金利が続けば返済負担を抑えられる可能性がありますが、金利が上昇すれば支払利息や返済額が増えることがあります。
つまり、固定金利は将来の金利変動による不確実性を抑えやすい金利です。
変動金利は将来の金利上昇リスクを受け入れる代わりに、当初の金利負担を抑えられる場合がある金利と考えると分かりやすくなります。
ただし、金融機関や商品によって金利の見直し方法や返済条件は異なるため、契約内容を確認することが前提です。
▪️固定金利のメリットは返済計画を立てやすいこと
例えば、400万円を借りて戸建を購入し、家賃が月5万円、ローン返済が月2万円だったとします。
返済額が一定期間変わらないのであれば、毎月の家賃5万円からローン返済2万円を差し引き、残り3万円の中から固定資産税、火災保険、管理費、修繕費などを支払うという収支を組み立てやすくなります。
不動産投資では、表面利回りだけではなく毎月いくら現金が残るのかが重要です。
そのため、返済額を読みやすい固定金利は、長期間のキャッシュフロー計画を作りやすいことが大きなメリットです。
▪️固定金利は金利上昇時でも収支を維持しやすい
例えば、家賃5万円、ローン返済2万5,000円で運営している物件があるとします。返済後には2万5,000円が残り、そこから税金や保険、修繕などを支払います。
その後、市場金利が上昇したとしても、契約している固定期間中の金利が変わらなければ、基本となる返済計画への影響を抑えやすくなります。
家賃が変わらず、ローン返済も2万5,000円のままであれば、少なくとも金利上昇によって急に毎月の手残りが減るリスクは小さくなります。
ただし、固定金利にもさまざまな商品があります。返済期間すべてが固定されるものだけではなく、5年間固定や10年間固定など、一定期間だけ金利を固定する商品もあります。
「固定金利だから完済まで同じ」と思い込まず、固定される期間を確認することが重要です。
▪️固定金利のデメリットは当初の金利が高くなる場合があること
固定金利では、変動金利と比較して当初の金利が高く設定される場合があります。
例えば、同じ400万円の借入でも、固定金利では毎月2万5,000円、変動金利では毎月2万2,000円という条件だったとします。
固定金利を選べば将来の返済額を読みやすくなりますが、購入直後から毎月3,000円多く支払うことになります。年間では3万6,000円、5年間なら単純計算で18万円の差です。
この差額を安心のためのコストと考えるのか、それとも手元に残して修繕や空室へ備えるのかは、投資家によって判断が変わります。
「安心だから固定金利」と決めるのではなく、固定金利を選ぶことで毎月いくら返済負担が増えるのかまで確認します。
▪️変動金利のメリットは当初のキャッシュフローを残しやすいこと
変動金利では、固定金利より低い金利で借りられる場合があります。
先ほどの例で、固定金利なら毎月2万5,000円、変動金利なら毎月2万2,000円だとすると、差額は毎月3,000円です。
年間3万6,000円、5年間で単純計算18万円。この差を現金として残せれば、給湯器の交換や原状回復、空室対策などへ使うことができます。
物件数が増えれば、わずかな返済額の差でも法人や個人全体のキャッシュフローへ影響します。
そのため、金利が低い状態が続く間は、変動金利の方が手元現金を残しやすくなる可能性があります。
ただし、そのメリットは金利が上昇した場合にも続くとは限りません。
▪️変動金利の注意点は将来の返済負担が読みにくいこと
例えば、現在は家賃5万円に対してローン返済が2万5,000円で、返済後に2万5,000円残っているとします。
その後、金利の見直しによって返済負担が増え、毎月3万円を返済する状態になれば、返済後に残る金額は2万円です。
毎月5,000円の違いでも、年間では6万円になります。
さらに同じ時期に空室が発生したり、家賃を下げる必要が出たり、給湯器やエアコンの交換が重なったりすれば、キャッシュフローはさらに小さくなります。
だから変動金利では、「今の返済額なら大丈夫」ではなく「返済負担が増えても大丈夫か」を購入前に確認することが重要です。
▪️金利上昇は「1%」より毎月いくら減るかで考える
金利が1%上がると聞いても、不動産投資の収支へどの程度影響するのか分かりにくいかもしれません。
そこで重要なのが、金利そのものではなく毎月の返済額と手残りで考えることです。
例えば、物件価格500万円、自己資金100万円、借入400万円、家賃5万円の物件があるとします。現在のローン返済が2万5,000円なら、返済後には2万5,000円が残ります。
仮に金利上昇などによって返済額が3万円になれば、返済後に残るのは2万円です。差額は毎月5,000円、年間6万円、5年間なら単純計算30万円になります。
そこから固定資産税、火災保険、管理費、修繕費などを支払うため、実際の利益への影響は小さくありません。
金利上昇は「数字が1%増える話」ではなく、毎月使える現金が減る話として考えることが重要です。
▪️返済比率50%が60%になるだけでも余裕は変わる
家賃5万円に対してローン返済が2万5,000円なら、返済比率は50%です。家賃の半分をローン返済に使い、残り半分からその他の経費を支払います。
返済額が3万円へ増えれば、返済比率は60%です。家賃5万円のうち、ローン返済後に残る金額は2万円になります。
この2万円から固定資産税、保険、管理費、修繕費などを負担します。
返済比率が10ポイント変わっただけでも、空室や設備故障が発生したときの余裕は変わります。
金利を見るときは、何%上がるかだけでなく、その結果として返済比率がどこまで上がるのかを確認します。
ローン返済比率について詳しくはこちら。
▪️金利上昇と空室が同時に起きる可能性も考える
不動産投資では、一つのリスクだけが単独で発生するとは限りません。
例えば、家賃5万円の物件でローン返済が月3万円になり、さらに年間2か月の空室が発生したとします。
年間家賃収入は50万円です。一方、ローン返済は年間36万円なので、この時点で残る金額は14万円です。
ここから固定資産税や保険、管理費などを支払い、さらに20万円の給湯器交換が発生すれば、その年の収支は赤字になる可能性があります。
変動金利を選ぶなら、金利上昇だけを見るのではなく、金利上昇と空室・修繕が同時に起きても耐えられるかを確認することが重要です。
▪️金利上昇に耐えるには手元現金が重要
同じ変動金利で同じ返済額だったとしても、手元に300万円ある投資家と10万円しかない投資家では、金利上昇への耐久力が違います。
不動産投資ではローン返済以外にも、空室、修繕、税金、設備故障、原状回復などで現金が必要になります。
例えば、返済額が毎月5,000円増えたとしても、十分な現金があればすぐに経営が行き詰まるわけではありません。しかし、手元現金がほとんどない状態では、小さな返済増加と一度の修繕が重なるだけでも資金繰りが厳しくなる可能性があります。
そのため、変動金利を利用する場合は特に、購入時に自己資金を入れすぎず、一定の現金を残しておくという考え方も重要です。
自己資金と現金余力についてはこちら。
▪️固定金利でも「余裕のない借入」なら安全ではない
例えば、固定金利で毎月返済額が変わらないとしても、家賃5万円に対してローン返済が4万円なら返済比率は80%です。
返済後に残るのは1万円しかありません。そこから固定資産税、保険、管理費、修繕、空室損失などを負担することになります。
この状態では金利上昇リスクを抑えられていても、そもそもの返済負担が大きすぎます。
固定金利イコール安全ではありません。
重要なのは金利タイプではなく、家賃に対して返済額が適正なのか、空室や修繕が発生しても現金が残るのかという点です。
固定金利でも利益がほとんど残らない借入なら、賃貸経営として余裕がある状態とは言えません。
▪️変動金利でも十分な返済余力があれば対応しやすい
反対に、変動金利だから必ず危険というわけでもありません。
例えば、家賃5万円に対して現在のローン返済が2万円なら、返済比率は40%です。金利上昇などによって返済額が2万5,000円になっても返済比率は50%で、ローン返済後には2万5,000円残ります。
さらに手元現金が500万円あり、多少の空室や修繕にも対応できる状態なら、一定の金利上昇があっても賃貸経営を続けられる可能性があります。
つまり、変動金利を選べるかどうかは、現在の金利が低いかではなく、金利上昇後にも十分な余白が残るかで判断します。
▪️固定か変動かより「上がった後」を先に見る
固定金利と変動金利を比較するとき、現在提示されている金利だけを見てしまいがちです。
しかし、不動産投資で本当に確認したいのは、金利が上昇した場合でも家賃収入からローン返済と経費を支払い続けられるかどうかです。
例えば、現在の返済が月2万5,000円なら、3万円になった場合、3万5,000円になった場合まで試算してみます。それでも税金、保険、管理費、修繕、空室を考慮して現金が残るのであれば、変動金利を選択できる余地は大きくなります。
逆に、少し返済額が増えただけで赤字になるのであれば、金利タイプ以前に借入額や購入価格そのものを見直した方がよい可能性があります。
どこまで金利が上がるかを当てることより、上がったときに耐えられる収支を最初から作っておくことが重要です。

