賃貸の防犯カメラは空室対策になる?設置費用・録画・プライバシーの判断基準
- MIRAIU

- 8月5日
- 読了時間: 13分
更新日:8月16日
▪️防犯カメラを付ければ「空室が埋まる」とは限らない
賃貸アパートやマンションを所有していると、
「防犯カメラを付ければ入居者が増える?」
「女性向け物件なら必須?」
「空室対策として費用をかける意味はある?」
と考えることがあります。
防犯カメラは、
エントランス。
駐車場。
駐輪場。
ごみ置き場。
共用廊下。
などの状況確認に利用できる設備です。
国土交通省が実施している2026年のみらいエコ住宅事業でも、一定の賃貸住宅に求める「不審者の侵入防止」の技術基準として、防犯性能の高い玄関ドア・窓と並んで防犯カメラの設置が挙げられています。 (みらいエコ住宅2026事業【公式】)
つまり、
防犯性を高める設備の一つとして一定の意味がある
とは言えます。
ただし、
防犯カメラを付ければ家賃が上がる。
防犯カメラを付ければ空室が埋まる。
というところまで一律には言えません。
空室の原因が、
家賃。
間取り。
立地。
築年数。
室内設備。
募集条件。
にある物件なら、防犯カメラだけ追加しても効果が小さい可能性があります。
防犯カメラは、
「人気設備だから付ける」のではなく、その物件で防犯設備へ投資する優先順位が高いか
を見て判断します。
賃貸物件のリフォーム・空室対策全体はこちら。
▪️以前の記事の「防犯設備を重視する人は年々増えている」は根拠が弱かった
以前この記事では、
「防犯設備を重視する入居希望者は年々増えています。」
「単身者や女性、高齢者世帯には特に効果的です。」
という趣旨で説明していました。
ここは根拠が弱すぎました。
防犯設備を重視する入居者がいることと、
自分の物件で防犯カメラを付ければ成約率が上がること
は別の話です。
賃貸設備のニーズを見ると、防犯設備以外にも、
エアコン。
高速インターネット。
オートロック。
宅配関連設備。
など複数の選択肢があります。
全国賃貸住宅新聞が公表した2025年の人気設備調査でも、「家賃が高くても入居が決まる設備」では高速インターネット無料やオートロックなどが上位に入っています。 (ゼンチン)
つまり、
設備投資の予算が30万円あるから防犯カメラ
と最初から決めるのではありません。
その物件では、
防犯カメラ。
オートロック。
モニター付きインターホン。
宅配ボックス。
無料インターネット。
室内設備の更新。
のどれを優先すると募集条件が改善しやすいのかを比較します。
▪️防犯カメラを検討するなら「何を解決したいか」を先に決める
防犯カメラを設置するときに最初に決めたいのは、
カメラの台数ではなく、設置目的です。
例えば、
不審者の侵入が気になる。
駐車場でいたずらがあった。
自転車盗難が起きた。
ごみ置き場への不法投棄に困っている。
共用部でトラブルが発生した。
という物件なら、防犯カメラを検討する理由があります。
一方で、
「なんとなく防犯に良さそう。」
というだけで複数台を設置すると、費用対効果を判断しにくくなります。
警察庁も住宅への侵入犯罪について、共同住宅を含めた発生状況や侵入手口を公開しています。
共同住宅では「無締り」や「合かぎ」などによる侵入も確認されているため、防犯対策はカメラだけで完結するものではありません。 (警察庁)
つまり、
防犯カメラ。
施錠。
玄関ドア。
モニター付きインターホン。
オートロック。
照明。
などを組み合わせて考えます。
カメラだけ増やせば防犯性が完成するわけではありません。
▪️防犯カメラの設置費用はいくら?
ここは元の記事に完全に欠けていた部分です。
防犯カメラの費用は、
カメラ本体。
設置台数。
屋外・屋内。
電源工事。
配線。
録画機器。
モニター。
クラウド利用。
保守。
などによって大きく変わります。
そのため、
「防犯カメラは1台○万円」と全国一律の金額では考えない方が安全です。
参考例として、防犯カメラ設備を扱う事業者が公開している集合住宅向けの価格では、本体・工事込みで、
1台 20万〜25万円。
2台 25万〜30万円。
3台 35万〜40万円。
4台 40万〜45万円。
という例があります。 (アイネット | 人気No.1の無料インターネット設備)
同じ資料でも、取り付け工事のみなら1万〜10万円程度、モニターや録画用レコーダー、保守費用などが別途発生するケースが紹介されています。 (アイネット | 人気No.1の無料インターネット設備)
もちろん、
これが全国統一相場という意味ではありません。
配線しやすい木造アパートと、高所作業や長距離配線が必要なマンションでは工事条件が違います。
そのため見積もりでは、
カメラ本体。
設置工事。
録画機器。
初期設定。
通信費。
保守。
故障時の対応。
まで含めて確認します。
本体価格だけを比較して決めないことが重要です。
▪️買い切りとレンタルは「初期費用」だけで比較しない
防犯カメラには、
自分で機器を購入する。
施工会社から購入する。
警備会社などと契約する。
レンタル・リースを利用する。
といった方法があります。
買い切りなら初期費用が大きくなりやすい一方、長期間使用すれば月額契約より総額を抑えられる場合があります。
レンタル型では初期負担を抑えられることがありますが、
月額料金。
契約期間。
途中解約。
機器交換。
保守。
録画サービス。
などを確認する必要があります。
比較するときは、
初期費用+5年程度の維持費
のように一定期間の総額を見る方が分かりやすくなります。
例えば、
買い切り30万円。
月額5,000円のサービス。
なら、月額だけでも5年間で30万円になります。
実際には工事費や保守内容が違うため単純比較はできませんが、
「初期費用0円だから安い」
という理由だけでは決めないようにします。
▪️設置場所は「多ければ多いほどいい」わけではない
集合住宅で防犯カメラを設置する場合、
エントランス。
駐車場。
駐輪場。
ごみ置き場。
共用通路。
などが候補になります。
しかし、すべてを撮影すればよいというものではありません。
目的が、
「駐輪場で起きるトラブルを確認すること」
なら、まず駐輪場を確認できる位置へ設置します。
「不審者の出入りを確認したい」
なら、エントランスや主要な出入口を優先します。
設置台数を増やす前に、
どこを通った人を確認したいのか。
どこで問題が発生しているのか。
を整理します。
また、
入居者の部屋の内部。
ベランダ。
近隣住宅の窓。
必要以上の道路範囲。
などまで撮影する設置は、プライバシー問題につながる可能性があります。
防犯という目的に必要な範囲を考えて設置します。
▪️防犯カメラ映像は個人情報になる場合がある
賃貸オーナーが特に注意したいのが、
録画した映像の扱い
です。
個人情報保護委員会は、防犯カメラによって特定の個人を識別できる画像を取得する場合、その画像は個人情報に該当すると説明しています。 (PPC)
そのため、
防犯目的で設置した映像を好きな目的に利用する。
誰でも自由に閲覧できる状態にする。
SNSへ公開する。
という扱いは避けます。
また個人情報保護委員会は、カメラが設置されていることを本人が簡単に認識できない場合には、
「防犯カメラ作動中」などの表示を行うこと
を例として挙げています。 (PPC)
賃貸物件なら、
防犯カメラ設置場所。
管理者。
利用目的。
映像を確認できる人。
などの運用ルールも決めておく方が管理しやすくなります。
▪️録画期間は「30日が正解」などの全国共通ルールではない
防犯カメラを選ぶとき、
「何日録画できればいい?」
という疑問があります。
検索すると、
7日。
14日。
30日。
90日。
などさまざまな数字が出てきます。
しかし、個人情報保護法には、
防犯カメラ映像を全国一律○日保存する
という固定の保存期間は定められていません。
個人情報保護委員会も、法律上、一律の保存期間や廃棄時期を定めているわけではなく、利用の必要性を考慮して保存期間を設定し、必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努める考え方を示しています。 (PPC)
したがって、
何か月も保存できる機器だから優秀。
できるだけ長期間残した方が安心。
とは限りません。
例えば、
トラブルに気付くまで通常何日程度かかるか。
管理会社がどの頻度で確認するか。
保存容量はどれくらいか。
何のために録画するのか。
から決めます。
保存期間を決め、その期間を過ぎた映像をどう削除するかまで運用として決めること
が重要です。
▪️ネットワークカメラならパスワード管理まで確認する
最近では、スマートフォンやパソコンから遠隔確認できるネットワークカメラもあります。
便利ですが、
インターネットへ接続する機器だからこその管理
も必要です。
個人情報保護委員会は、ネットワークカメラなどで画像データを取り扱う場合、アクセス制御や漏えい防止策、パスワード設定などの安全管理措置を例として挙げています。 (PPC)
そのため、
初期パスワードのまま使用する。
複数人で同じパスワードを共有する。
退職した管理担当者がアクセスできる。
誰が映像を見たか分からない。
という管理は避けたいところです。
導入時には、
誰が映像を見るのか。
管理者を誰にするか。
パスワードをどう管理するか。
退去者・退職者のアクセス権をどう処理するか。
まで決めておきます。
▪️防犯カメラより先に直した方がいい設備もある
ここが空室対策として一番重要です。
例えば、
家賃7万円の物件。
室内は古い。
モニター付きインターホンもない。
インターネット設備も弱い。
宅配ボックスもない。
という状態で、
最初に40万円かけて防犯カメラを付けることが最適とは限りません。
逆に、
室内設備は競合物件とほぼ同じ。
オートロックもある。
しかし駐輪場で盗難やいたずらが続いている。
という物件なら、防犯カメラの優先順位が上がる可能性があります。
つまり、
設備そのものの人気ではなく、「今この物件で何が足りないのか」を見る。
これが基本です。
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▪️防犯カメラの費用対効果は「空室何か月分か」で見る
防犯カメラを空室対策として導入するなら、
投資額が家賃何か月分に相当するか
を見ると判断しやすくなります。
例えば、
設置総額30万円。
家賃6万円。
なら、
30万円 ÷ 6万円 = 5か月分
です。
つまり、防犯カメラへ30万円を投資するなら、
長期的に見て5か月分以上の空室損失を減らせるのか。
家賃や入居条件を改善できるのか。
既存入居者のトラブル対応コストを減らせるのか。
を考えます。
もちろん、
カメラを付けたら5か月空室が減る
という意味ではありません。
設備投資の大きさを家賃収入と比較するための物差しです。
防犯カメラだけでなく、
オートロック。
宅配ボックス。
インターネット。
室内リフォーム。
について同じ計算を行えば、
どこへ予算を使うべきか比較しやすくなります。
不動産投資・賃貸経営全体の判断はこちら。
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▪️防犯カメラを設置するか判断する4ステップ
最後に、導入判断を整理します。
1.現在の問題を確認する
空室対策なのか。
盗難対策なのか。
不法投棄なのか。
入居者から要望があるのか。
目的を決めます。
2.他の設備と比較する
防犯カメラ。
オートロック。
モニター付きインターホン。
宅配ボックス。
インターネット。
室内リフォーム。
のどれを優先するか比較します。
3.初期費用と維持費を確認する
本体価格だけでなく、
工事。
録画。
通信。
保守。
交換。
まで見積もります。
4.運用方法を決めてから設置する
撮影範囲。
録画期間。
閲覧できる人。
映像の削除。
パスワード管理。
掲示。
まで決めます。
この4つを確認すれば、
「人気設備ランキングに載っているから導入する」
という判断から離れられます。
▪️賃貸の防犯カメラについてよくある質問
Q.防犯カメラを設置すれば空室は埋まりますか?
防犯カメラだけで空室が解消するとは言えません。
空室原因が家賃や室内設備、間取りなどにある場合には、別の対策を優先した方がよいことがあります。
防犯設備が不足していることが募集上の弱点になっている場合に、導入を比較します。
Q.防犯カメラの映像は何日残せばいいですか?
全国一律の法定保存日数はありません。
利用目的、トラブルを把握するまでの期間、管理方法などから必要な保存期間を決めます。 (PPC)
必要以上に長期間保存するのではなく、削除ルールも決めておきます。
Q.防犯カメラを付けるとき入居者の同意が必要ですか?
設置方法や映像の利用方法などによって判断が変わるため、一律には言えません。
ただし、特定の個人を識別できる映像は個人情報となる場合があり、個人情報保護委員会は利用目的の特定や、必要に応じて撮影していることを認識できる掲示などを求めています。 (PPC)
入居者の室内や必要以上の私生活を撮影しないことも重要です。
▪️まとめ|防犯カメラは「人気設備」ではなく投資として判断する
賃貸物件の防犯カメラには、
不審者対策。
駐車場・駐輪場の確認。
不法投棄対策。
トラブル発生時の状況確認。
などに利用できるメリットがあります。
国土交通省も、防犯性へ配慮した一定の賃貸住宅について、防犯カメラを不審者侵入防止の設備の一つとして位置付けています。 (みらいエコ住宅2026事業【公式】)
しかし、
「防犯カメラ付き賃貸は人気」
「女性や単身者なら防犯カメラを付ければ選ばれる」
「防犯カメラ=空室対策」
と単純に考える必要はありません。
見るべきなのは、
現在の空室原因。
物件周辺の状況。
競合設備。
設置費用。
維持費。
撮影範囲。
録画期間。
個人情報管理。
です。
そして、
同じ30万円なら何へ投資すると最も募集条件を改善できるのか。
ここまで比較します。
防犯カメラが最優先の物件もあります。
室内設備やインターネットを先に改善した方がよい物件もあります。
防犯カメラによる空室対策で重要なのは、
「カメラを付けること」ではなく、「その物件の弱点に合った設備へ投資すること」
です。
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