売れない土地を無料で譲る方法はある?寄付・譲渡・引き取りサービスを比較

更新日:10月10日
価格を下げても買い手が見つからない土地について、『無料なら誰かに譲れるのでは』と考えることがあります。しかし、土地の代金をゼロ円にすることと、登記・税金・管理責任を含めて費用ゼロで手放せることは別問題です。
土地を受け取る相手が個人か法人か、自治体か専門の引き取り事業者かによって、必要な手続きと税務上の扱いは変わります。『無料で土地を引き取ります』という言葉だけで契約せず、相手が何を引き受け、いつ所有権が移るのか整理しましょう。
① 無料譲渡と費用ゼロの処分は同じではない
土地を無償で譲る場合でも、所有権移転登記の手続きや登録免許税、必要に応じた測量・境界確認、契約書の作成などに費用が掛かる場合があります。誰がどこまで負担するかは契約で決める必要があります。
土地の形状、接道、共有者、農地・山林としての制限などによって、受け取る側が利用できるかも変わります。無償だから必ず受け取ってもらえるという前提は置けません。
最初に登記・地目・面積・現況と管理上の問題を一覧にし、相手に説明できる状態を作りましょう。
② 個人へ贈与するときは受け取る側の税金を確認する
親族や知人へ土地を無償で渡す場合、個人が個人から財産を贈与で取得すると原則として贈与税の検討が必要です。代金を受け取らないから税金がかからないわけではありません。
国税庁は暦年課税の基礎控除額を年間110万円と説明しています。ただし、受け取る人がその年に取得する贈与財産の価額の合計で判断するもので、土地の価格を契約書に0円と書けば評価額がゼロになるという意味ではありません。
不動産取得税も贈与による取得で原則対象になる場合があります。取得する人の状況に応じて税理士や自治体の税務窓口へ確認しましょう。
③ 法人や専門業者へ譲る場合は契約を細かく読む
法人へ無償譲渡する場合は、個人への贈与と同じ税務処理になるとは限りません。譲る側・受け取る側で所得税・法人税などの課税関係を検討する必要があるため、契約の前に専門家へ確認しましょう。
売れない土地の引き取りを有料で行う事業者もあります。『引き取り費用』を払うことで誰がいつ所有権を取得するか、登記を誰が行い、残置物や地中の物の扱いがどうなるかを確認します。
事業者の説明だけで安心せず、契約相手の法人情報、支払時期、解約条項、所有権移転登記の完了確認などを整理しておくことが大切です。
④ 自治体への寄付は申出と受入れを分ける
自治体に土地を寄付したいと申し出ることは考えられますが、自治体がすべての土地を引き取る仕組みではありません。公共目的での必要性や管理費、位置関係など、自治体の判断が関係します。
『役所に相談すれば無料で引き取る』という案内は誤解を招きます。所在地の市町村へ寄付の申出ができるか、必要資料は何か、受入れの検討があるかを確認しましょう。
寄付の手続きが進まない間は所有権が自動的に移るわけではないため、税金や安全のための管理を続ける必要があります。
⑤ 相続土地国庫帰属制度は無償譲渡とは別
相続等により取得した土地の所有権を国へ帰属させる制度は、一定の要件を満たす人が利用を検討できます。一般の売買や贈与と異なり、申請できる人と土地に法律上の要件があります。
法務省の案内では審査手数料は土地一筆につき1万4,000円で、承認後には原則として一筆20万円を基本とする負担金が必要です。面積や土地の種類、隣接筆の算定特例などで金額は変わり得ます。
建物がある土地や境界に争いがある土地など、申請や承認に制約がある場合もあります。『国が無料で土地を引き取る制度』と説明しないようにしましょう。
⑥ 手放した後の費用と管理終了日を確認する
土地を譲る契約がまとまっても、実際に登記が完了する前に、管理する人や税金を負担する人の関係が整理できていない場合があります。土地の引渡しと登記、残置物の処分などを契約書で確認しましょう。
例えば譲渡価格0円でも、登記手続き・境界確認・家財処分などを売主側が負担するなら現金の持ち出しが生じます。有料引き取りの手数料と、今後数年間の固定資産税・草刈り費を比べる方法があります。
相手が本当に所有権を取得するかを登記で確認し、その後の管理や連絡先を文書で整理することが重要です。
⑦ 売れない土地を無償譲渡する前の四つの確認順
第一に登記・地目・境界・接道・管理費を調べ、受け取る相手に説明できる資料を整理します。
第二に個人・法人・自治体・専門事業者のどこへ相談するか分け、税金と契約の扱いを確認します。
第三に無料譲渡・有料引き取り・国庫帰属を比較し、登記・測量・片付け・負担金まで含めて手残りを計算します。
最後に所有権移転登記と管理終了の時期を明確にし、相手の受入れが確定するまで管理を放棄しないようにしましょう。
⑧ よくある質問
Q1. 土地を0円で贈れば贈与税も0円になる?
贈与税は財産の評価等によって判断するもので、契約上の代金0円がそのまま税務上の価額0円になるわけではありません。
受け取る人の年間の贈与額と税務上の評価を確認しましょう。
Q2. 自治体なら売れない土地を無料で引き取ってくれる?
自治体は土地を無条件で受け入れるわけではなく、目的や管理上の条件を判断します。
担当窓口へ資料を示し、受入れの検討が可能か確認しましょう。
Q3. 相続土地国庫帰属制度なら費用ゼロで土地を返せる?
法務省は申請時の手数料と、承認された場合の負担金を案内しています。無料の制度ではありません。
土地の要件と費用を確認し、ほかの譲渡・売却方法とも比較しましょう。
⑨ まとめ
売れない土地を無償で譲る方法はありますが、価格をゼロにすることと、税金・登記・片付けなどの負担がなくなることは別です。相手が個人か法人か自治体かでも確認内容が違います。
無料譲渡、有料の引き取り、相続土地国庫帰属制度の条件を分け、実際に所有権が移る時期と管理が終わる条件まで確認してから契約を決めましょう。

