貸家の相続税評価はいくら下がる?固定資産税評価額・賃貸割合の計算順

更新日:10月9日
賃貸アパートの建物は、一定の条件を満たせば貸家として相続税評価を計算します。ただし「どんな賃貸物件も30%下がる」と覚えると誤解につながります。建物の固定資産税評価額と賃貸割合を確認し、土地の評価とは分けて考えましょう。
① 建物の評価は固定資産税評価額が基準
貸家の評価は、建物の固定資産税評価額を基礎に考えます。購入価格や市場で売れる価格をそのまま用いるわけではありません。
評価する時点の固定資産税課税明細などを確認し、複数の建物がある場合は建物ごとに整理します。
② 借家権割合と賃貸割合を使う
貸家としての評価は、固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)という形で求めます。借家権割合は対象年度の財産評価基準書で確認します。
仮に固定資産税評価額1,000万円、借家権割合30%、賃貸割合100%なら評価は700万円です。例示の条件が自分の物件にも当てはまるか確認が必要です。
③ 空室があると計算が変わる場合
複数室のアパートでは、課税時期の賃貸割合が重要です。一時的な空室が一定の条件で賃貸中と扱われる場合もありますが、空いていれば必ず満室扱いになるわけではありません。
入居者の契約、退去時期、募集履歴などを保存し、空室部分の評価を検討できる資料を残します。
④ 家族への無償貸付は注意
親族が建物を利用している場合でも、実態が無償の使用貸借なら貸家の評価と異なる場合があります。単に賃貸借契約書があるという形式だけでは足りないケースがあります。
実際の家賃の支払いと利用状態を確認し、親族への貸付を理由に当然に評価減できると考えないようにします。
⑤ 土地は貸家建付地として別計算
建物の貸家評価と、敷地の貸家建付地評価では計算式が異なります。土地では自用地価額や借地権割合、借家権割合、賃貸割合を使います。
建物で30%という計算例が出ても、土地まで同じ割合で下がるわけではありません。両者を分けて試算します。
⑥ 税負担と売却価格は別の判断
相続税評価額が低いからといって、市場価値がその分下がったという意味ではありません。入居者のいる建物を売る場合は、賃貸借契約や収益性、修繕履歴が価格に影響します。
相続人が保有を続けるか売却するかは、税負担に加え管理費と将来の修繕費も見ながら判断します。
⑦ 申告前に確認する資料と停止条件
建物の固定資産税評価額が不明なら評価額を推測で決めません。
入居・空室の記録がない場合は、管理会社から資料を取り寄せます。
親族利用や用途が混在する建物では、賃貸割合の判断を専門家に確認します。
最後に建物と土地を別々に評価し、相続税の個別要件を確認して申告します。
⑧ Q&A
Q1. 貸家なら必ず30%減額?
賃貸割合などによって変わります。全室賃貸を前提とした計算例を一律に使わないようにします。
評価時点の状況と対象年度の割合を確認します。
Q2. 空室がある場合はどうなる?
一時的な空室などの条件により扱いが変わることがあります。
募集状況と入退去履歴を整理します。
Q3. 土地も建物と同じ計算?
土地は貸家建付地として別の式で評価します。
借地権割合なども確認します。
⑨ まとめ
賃貸アパートの建物は、一定の条件を満たせば貸家として相続税評価を計算します。ただし「どんな賃貸物件も30%下がる」と覚えると誤解につながります。建物の固定資産税評価額と賃貸割合を確認し、土地の評価とは分けて考えましょう。
条件がそろわないまま結論を急がず、費用と手残り、将来の負担を比較してください。税制や権利関係は個別事情によって扱いが異なるため、必要に応じて専門家へ確認しましょう。

