不動産投資のDSCRとは?年間返済・NOI・空室を数字で確認する方法

更新日:10月8日
物件の表面利回りが高くても、ローン返済を続けられるとは限りません。DSCRは借入返済をどの程度賃貸事業の収益で賄えるかを見る指標です。金融機関ごとに計算する収益や費用の定義が違う場合があるため、計算式の前提から確認します。
① DSCRの計算式を明確にする
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)は、一般に年間の返済原資となる収益を年間元利返済額で割って求めます。賃貸事業ではNOIを分子に置く例がありますが、実際の融資審査では調整項目が異なることもあります。
年間家賃をそのまま分子にして返済額で割ると、運営費を見落とすため注意が必要です。
② NOIを家賃と運営費から計算する
例えば年間家賃収入が300万円、通常の空室損や運営経費が90万円なら、単純なNOIは210万円です。運営経費には管理、保険、税金などを含め、借入の元利返済は分けて計算します。
一時的な大規模修繕や設備更新は、通常費用への算入方法と別途の資金準備を整理して扱います。
③ 年間返済額との比率を求める
先ほどのNOI210万円に対して年間元利返済が150万円なら、DSCRは210÷150=1.40倍です。返済をカバーする額が年間返済の1.4倍あるという計算上の意味です。
1.0倍を上回ればあらゆる支出へ対応できるわけではありません。個別の融資条件や将来修繕の支出も別に確認します。
④ 空室が増えた場合を試算する
同じ物件でNOIが180万円へ下がり返済が150万円のままなら、DSCRは1.20倍へ低下します。家賃や空室がどの程度変わると返済余力が縮むか、シナリオを作ります。
賃貸需要を現地の募集状況で確認し、満室想定だけで長期の収支を固定しないようにします。
⑤ 金利・返済期間の変化を考える
金利上昇や返済期間の変更で年間返済額が175万円になれば、NOI210万円でもDSCRは1.20倍となります。返済額は融資契約の条件に基づき確認します。
借入金利だけを比べるのではなく、諸費用・金利タイプ・残債・手元資金を合わせて検討します。
⑥ LTVやキャッシュフローと分けて理解する
LTVは借入と物件価値の関係、DSCRは返済原資と年間返済の関係を見る指標です。いずれも単独では災害、売却価格、現金不足の全体像を表しません。
実際の税金や大きな修繕、借入返済後のキャッシュフローを別表で確認します。
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⑦ 数字が高くても購入を急がない
計算に使った家賃が周辺需要と合わない場合は収入を置き直します。
一時的な修繕費が重なると、平常年のDSCRが高くても現金が不足する場合があります。
修繕予備費を通常のNOIにどこまで算入しているか確認し、平常時と大型工事のある年を分けて検証します。銀行の算定条件と自分の現金管理の条件は異なり得るため、同じ数値だけで安全性を決めないことが大切です。
利回りが高くてもDSCRが低い場合、取得価格や借入額・期間を見直す余地があります。ただし返済額を減らす目的だけで返済期間を長くすれば利息総額が増えることもあるため、年間手残りと総支出を両方比較します。
⑧ Q&A
Q1. DSCRが1.0倍超なら安全ですか?
返済原資が年間返済を上回る計算ですが、十分な安全性を保証しません。
空室・修繕・税金・保有資金を合わせて確認します。
Q2. 金融機関は同じ式を使いますか?
前提に使う収益や調整項目は異なる場合があります。
審査上の計算条件を金融機関へ確認します。
Q3. LTVとは何が違いますか?
LTVは価値に対する借入割合です。
DSCRは年間返済と返済原資の関係を見ます。
⑨ まとめ
DSCRは年間の返済原資を元利返済で割る指標で、計算に使う収益の範囲が重要です。
空室や金利の変化を数字で確認し、手元資金と修繕予定まで合わせて融資条件を判断します。

