過去に満室だったアパートは買っていい?入居履歴・家賃・空室リスクの確認順

更新日:10月9日
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中古アパートの売却資料に「過去は満室だった」と書かれていると、安定して家賃が入る物件に見えることがあります。しかし、過去に空室が少なかったことと、購入後も同じ条件で入居者が決まり続けることは別です。
この話は賃貸住宅を所有してから空室募集を改善する記事ではなく、購入前の調査をどう進めるかという問題です。昔の満室率を褒めるより、いま受け取っている家賃と退去後に期待できる家賃を比べましょう。
① 満室だった時期と現在の入居を切り分ける
まず『いつ満室だったのか』を確認します。五年前の満室実績と、直近一年の入居状況では意味が異なります。時点の違う入居率を同じ数字として扱わないようにします。
レントロールで部屋ごとの入居開始日、賃料、敷金、契約更新状況を確認します。空室が少なくても特定の部屋だけ何度も入退去している可能性があります。
現在の入居状況は販売資料だけでなく、必要に応じて管理会社や売主へ更新した情報を求めましょう。
② 家賃の入金と滞納の有無を確認する
満室であっても賃料が予定どおり入金されているとは限りません。家賃の入金状況、滞納や立替払いの有無、管理会社が把握する徴収状況を適切な資料で確認します。
例えば10戸が全部埋まっていても、一室分の家賃が継続的に未回収なら、満室家賃をそのまま現金収入と見なすのは危険です。
入居者の個人情報に配慮しながら、家賃入金の集計資料や保証会社の契約状況などを売主・管理会社へ確認しましょう。
③ 退去後の募集家賃を現実的に見直す
昔から住む入居者が多い物件では、契約中の家賃が今の新規募集相場より高い場合があります。満室の家賃総額と、退去後に付けられる募集家賃を分けて考えましょう。
駐車場、設備、間取り、道路、スーパーや学校への距離などを近隣の競合と比較します。築年数が近くても、駐車場の台数で募集条件が変わる場合があります。
仲介会社へ現在の成約に近い賃料を確認し、強気の募集額だけで購入後の事業計画を作らないことが重要です。
④ 家賃が落ちた場合の収入を数値で確認する
10戸・一戸月5万5,000円なら満室時の年間家賃は660万円です。購入後に二戸が一年空いたままなら、それだけで年間132万円の家賃が減る計算になります。
残る八戸も退去後の再募集で家賃が下がる可能性があります。この例は説明用であり、満室時点の売上が将来も続く保証はありません。
管理費・税金・借入返済が続く前提で、稼働80%のケースと一室が短期空室のケースを分けて試算しましょう。
⑤ 入退去履歴と修繕履歴を一緒に見る
同じ部屋で短い入居と退去が続く場合、賃料や設備、周辺環境が原因になっていないかを確認する価値があります。ただし入退去の理由は一つとは限りません。
エアコンや給湯器、給排水、屋根・外壁などの修繕履歴も確認します。直近の満室が、未実施の大きな修繕費を見えにくくしている場合があります。
管理会社の説明、修繕伝票、退去時の工事履歴をそろえて、今後必要になりそうな現金を把握しましょう。
⑥ 地域需要と売却出口は別に確かめる
工場移転、勤務先の変化、生活施設の閉店、交通手段の変化などで賃貸需要が変わる可能性があります。昔満室だった背景を確認し、今も同じ需要があるか調べます。
現状の家賃が将来の買主にも通用するとは限りません。売却時には新しい賃料条件、修繕状態、残債などが価格に影響する場合があります。
災害ハザードや再建築条件も含めて、建物だけでなく土地の出口を考えることが重要です。
購入を検討する場合は、家賃入金・修繕・空室の資料をまとめて不動産投資の相談先に確認する方法があります。ただし、融資や投資成果が保証されるわけではありません。
⑦ 満室物件を購入する前の四つの確認
最初に直近の入居一覧と過去三年程度の入退去・家賃入金を確認し、満室だった時期を特定します。
次に各部屋の契約賃料と、退去後の市場で決まりそうな家賃を比較します。
空室が二戸続く場合の収入、修繕費、ローン返済を数字にして、運転資金が残るか確認します。
最後に地域需要・ハザード・売却出口を確かめ、過去の満室実績だけで購入を決めないようにしましょう。
⑧ よくある質問
Q1. 過去に満室なら今後も人気物件?
満室だった時点の需要と現在の賃貸市場は異なる場合があります。
直近の退去履歴と募集相場を確認します。
Q2. 満室ならレントロールだけ確認すればよい?
入居一覧だけでは実際の家賃入金や修繕の履歴が分からない場合があります。
入金状況と工事履歴を併せて確認しましょう。
Q3. 満室想定家賃で融資返済を試算してよい?
満室の数字だけでは長期空室や家賃下落に対応できるか分かりません。
慎重な入居率と家賃で返済余力を計算します。
⑨ まとめ
中古収益物件の満室実績は参考になりますが、それだけで購入後の家賃収入が守られるわけではありません。現在の賃料・実入金・退去履歴・修繕履歴を確認する必要があります。
満室時と空室が続く場合の収支を比較し、地域の需要と売却出口も踏まえて、長く持てる物件か判断しましょう。

