第41回 空室が長いと“悪循環”になる理由

更新日:10月9日
賃貸住宅の空室が三か月、四か月と長くなると、家賃を下げるべきか悩むことがあります。ただし、問い合わせが少ないのか、内見されても申し込みがないのかで原因は変わります。長く空いていることだけで、必ず入居者から敬遠されるとは言えません。
『募集が長いから家賃を下げ続ける』という対応は、収入を減らしても決まらない悪循環になることがあります。今回は賃貸オーナーが確認できる数字と、改善を始める順番を整理しましょう。
① 反響がないのか内見後に断られるのか
まず募集サイトでの閲覧や問い合わせ、内見件数、申し込み件数を確認します。公開ページが見られていない物件と、内見には来るが契約されない物件では対策が違います。
例えば問い合わせが十件、内見が五件、申し込みがゼロなら、広告を増やす前に内見後の不満を確認する価値があります。これは説明用の数字で、一定の成約率を保証するものではありません。
管理会社や仲介会社に、入居希望者からの質問や見送り理由が共有されているか確認しましょう。
② 募集写真と部屋の状態が違っていないか
募集当初の写真を使い続けていると、設備の交換や傷みなど現在の状態が伝わらない場合があります。写真の明るさだけでなく、間取りや収納、駐車場が分かるかを確認します。
室内へ入ると臭い、ほこり、給湯器の不具合が気になる場合もあります。写真がきれいでも現地の状態に差があれば入居者が不安を感じる可能性があります。
現況写真を更新し、必要な清掃や小さな修理を優先することが大切です。
③ 家賃を下げる前に総支払額と競合を見る
同じ家賃帯でも、駐車場代・共益費・敷金・礼金・更新費用などを含めた支払条件で比較されることがあります。月額家賃だけを下げても競合との差が埋まらない場合があります。
たとえば家賃6万円の物件を5万7,000円に下げると、満室で一年間入居したときの家賃収入は3万6,000円減ります。減額が必要かは、空室を続ける損失との比較が必要です。
周辺の同じ築年数・間取り・交通条件に近い物件を調べ、いまの募集条件が妥当か確認しましょう。
④ 内見で見られる不具合を先に直す
水回りの臭い、照明の暗さ、給湯、建具の動き、駐車場の出し入れなどは、募集写真より現地で分かりやすい部分です。
全部を新品にする必要はありません。修理が必要な不具合と、見栄えを整えるだけの改装を分けて、少ない費用から対策を検討します。
管理会社や仲介会社から指摘された項目を記録し、内見後に同じ理由で断られていないか確認することが有効です。
⑤ 空室四か月の現金損失を計算する
月額家賃6万5,000円なら、四か月の空室で受け取れなかった家賃は26万円です。さらに入居時の広告費や原状回復、固定資産税、管理費、融資返済などの支出も考える必要があります。
ただし『四か月空室だから家賃を必ず一万円下げる』という計算にはなりません。いったん家賃を下げると、入居期間中の収入へ継続して影響するためです。
空室継続の損失と、値下げ後に想定される年間収入を両方計算して、改善案を選びましょう。
⑥ 仲介会社の意見をそのまま結論にしない
仲介会社から『家賃が高い』『設備が古い』と言われたら、どの物件と比べてそう判断したのかを聞くことが大切です。資料や実際の問い合わせ状況があれば、改善する理由が分かりやすくなります。
募集条件を変える場合は、変更日を残し、その後の反響と内見件数を一定期間見ます。写真・家賃・設備を全部同時に変えると、何が影響したか分かりにくくなることがあります。
反響が増えても契約に結びつかない場合は、次の課題を改めて調べましょう。
⑦ 悪循環を止める四つの判断順
最初に閲覧・問い合わせ・内見・申し込みを分けて記録し、どこで検討者が離れているか把握します。
次に募集写真と実際の室内を比較し、清掃・修理・説明不足など費用を抑えて改善できる点を探します。
家賃や初期費用を変えるときは、空室を続けた場合と値下げした場合の収支を比較します。
最後に変更後の結果を記録し、一定期間改善しなければ募集方法・設備投資・賃貸継続の方針を見直しましょう。
⑧ よくある質問
Q1. 空室が長い物件は入居者に敬遠される?
掲載期間だけで入居希望者の行動を断定することはできません。写真や設備、価格など複数の理由が考えられます。
閲覧数と内見後の意見を確認しましょう。
Q2. 家賃を下げれば必ず申し込みが入る?
下げても成約が保証されるわけではなく、設備や立地が原因の場合もあります。
値下げによる年間減収と空室損失を比較します。
Q3. 改善を始めるなら最初は何?
募集データと室内の現況を確認し、問い合わせが少ないのか内見後に決まらないのかを分けます。
原因に近い改善から試し、結果を記録しましょう。
⑨ まとめ
空室の悪循環を止めるためには、長く募集していること自体を原因と決めつけず、問い合わせ・内見・申込の数字を分けて考えることが大切です。
家賃を下げる前に写真・室内状態・募集条件を確認し、空室損失と値下げ後の収入を比べて判断しましょう。

