農地法3条で田んぼ・畑を売るには?下限面積廃止後の買主・許可条件を整理

更新日:9月30日
田んぼや畑を農地のまま売る場合は、原則として農地法3条の許可が必要です。2023年4月に従来の下限面積要件は廃止されましたが、誰でも自由に農地を取得できるようになったわけではありません。
買主が農地を適切に利用できるか、周辺の農地利用へ支障がないかなど許可要件を確認します。住宅・駐車場などへ転用する目的なら、3条ではなく農地転用の確認が必要です。
▪️1 3条は農地を農地のまま移すときの許可
農林水産省は、農地を売買・貸借する場合には原則として農業委員会へ申請し、農地法3条の許可を受ける必要があると案内しています。
許可を受けないでした権利移転は効力が生じないとされています。
まず買主が農業利用を続けるのか、転用目的なのかを分けます。
▪️2 下限面積要件は2023年4月に廃止
以前は取得後の経営農地面積に下限面積要件がありましたが、2023年4月の制度改正で廃止されました。
そのため『50アール以上持っていないから絶対買えない』という説明は現在の制度に合いません。
ただし他の許可要件は残っているため、小面積なら自動的に許可されるわけではありません。
▪️3 買主は農地を適切に利用できるか確認される
農地法3条では、取得する農地を含め農地を効率的に利用することなどが確認されます。
周辺農地の利用へ支障を及ぼさないことも重要です。
新規就農者でも要件を満たせば取得を検討できますが、具体的判断は農業委員会へ確認します。
▪️4 法人が所有する場合は要件が別にある
法人が農地を所有する場合は農地所有適格法人の要件などが関係します。
一般法人でも一定条件の貸借による参入方法がありますが、所有と貸借を混同しません。
法人買主がいる場合は法人形態と取得方法を農業委員会へ確認します。
▪️5 転用目的なら3条ではなく別手続き
買主が住宅、駐車場、資材置場など農業以外の利用を予定する場合は、農地転用許可・届出など別の制度を確認します。
市街化区域・市街化調整区域、農振農用地区域など土地条件によって難易度が変わります。
『農家以外へ売れない』ではなく、買主の利用目的から必要手続きを決めます。
▪️6 契約前に許可条件と日程を確認する
買主と価格が決まっても、許可が必要な取引では許可手続きが重要です。
売買契約で農地法許可を条件とする場合は、不許可時の扱い、決済時期、手付金などを専門家へ確認します。
農業委員会の受付締切や審査時期は自治体ごとに確認します。
相続した農地の地番や現況が分からない場合は、売却先探しより先に農地台帳・公図等で土地を特定します。
共有農地では共有者全員の意思確認が必要になる場面があります。持分・登記を整理します。
耕作者がいる場合は現在の貸借関係も確認します。所有権移転だけでなく既存利用権の扱いを見ます。
許可要件や申請書類は制度改正があり得るため、申請時点の農業委員会資料で再確認します。
農地法3条許可では、取得後に農地のすべてを効率的に利用できるか、必要な農作業へ従事できるかなどが確認されます。単に農地を買いたい意思だけでは足りません。
周辺農地の集約化や水利用へ支障を及ぼすおそれがないかも確認対象です。地域計画との整合も意識します。
買主が個人でも法人でも、農業委員会へ具体的な利用計画を説明できるようにします。曖昧な転売目的では進めにくい場合があります。
農地を無償で譲る場合も所有権移転であれば3条許可が関係します。0円だから手続き不要とは限りません。
契約書では、許可取得前に所有権移転が完了したように扱わないことが重要です。決済・登記のタイミングを専門家と確認します。
許可後も農地利用が適切に続けられるかが重要です。買主の営農計画と管理体制を確認します。
農地法3条許可では、農地を取得した後に耕作へ必要な機械・労働力・技術を確保できるかも確認材料になります。
買主が遠方に住んでいる場合は、どのように耕作・管理するか具体的な計画を説明できるようにします。
小さな農地だから許可が簡単とは限りません。周辺農地との一体利用や水利への影響を確認します。
売主側も現在の耕作者・賃借権・農地バンク利用歴などを整理し、買主へ正確に伝えます。
3条許可では、買主が取得後に農地をどのように耕作するかを具体的に示す必要があります。住所や職業だけで可否を決めません。
遠方の買主が取得する場合は、通作距離や農機具・労働力など実際に利用できる体制も確認される場合があります。
農地に賃借権や利用権が設定されている場合は、所有権移転だけでなく既存の権利関係を整理します。
売買価格が0円に近くても、農地法上の許可が不要になるわけではありません。無償譲渡と有償売買を法手続きで混同しません。
農地法3条許可後も所有権移転登記が必要です。許可と登記を別々の工程として決済日程へ入れます。
▪️7 確認する順番
確認は、①農地の現況、②農地のまま売るか転用目的か、③買主の利用計画、④農地法3条の許可要件、⑤農振・都市計画等の区域、⑥農業委員会の申請日程、⑦契約・決済条件、の順で進めます。下限面積廃止だけで売買可能と決めないことが重要です。
まず農地のまま引き継ぐ取引かを確認します。転用目的なら別制度を見ます。
次に買主の農業利用計画を農業委員会へ相談します。旧来の面積条件だけで判断しません。
最後に契約と許可日程を合わせます。不許可時の扱いを曖昧にしたまま決済へ進みません。
▪️⑧ Q&A
Q. 農家でない人でも農地を買えますか?
農地法3条の許可要件を満たせば検討できます。以前の下限面積要件は廃止されています。
Q. 50アール持っていないと買えませんか?
2023年4月に下限面積要件は廃止されました。ただし他の許可要件は残っています。
Q. 駐車場にする人へ3条で売れますか?
転用目的なら農地法3条ではなく、農地転用を伴う手続きなどを確認します。
▪️⑨ まとめ
農地法3条の売買では、下限面積要件廃止後も買主の農業利用や周辺農地への影響など許可条件を確認します。
農地のまま売るのか転用するのかを先に分け、農業委員会へ相談します。

