親族に家を貸すと相続税評価は下がる?使用貸借・賃貸借・貸家評価の違い

更新日:9月16日
親族に家を貸しているから相続税評価が必ず下がる、という理解は危険です。無償または実質的に無償の使用貸借なのか、第三者へ貸すのと同じような賃貸借なのかで、土地や建物の評価の考え方が変わります。
このテーマは契約書の名前だけで決まるものではなく、実際の地代・家賃の支払い、利用実態、建物の所有関係などを確認して判断します。
使用貸借と賃貸借を最初に分ける
地代や家賃を受け取らず親族に使わせている場合は、使用貸借に当たることがあります。国税庁は、親の土地を子が無償で使用して家を建てるケースについて、使用貸借されている土地は相続時に自用地として評価する取扱いを示しています。
一方、実際に対価を受け取り賃貸借として利用されている場合は、貸家や貸家建付地の評価が関係する可能性があります。
『少額の家賃を払えば賃貸』とは限らない
親族間では、固定資産税相当額だけ負担する、名目上の家賃だけ支払うといったケースがあります。金銭のやり取りがあるだけで当然に第三者間と同じ賃貸借になるとは限りません。
支払額、継続性、契約内容、当事者の関係などを含め、実態としてどのような貸借なのかを整理する必要があります。
土地と建物の名義を別々に確認する
親名義の土地に子名義の建物があるのか、親名義の土地・建物を子が使っているのかで確認項目が変わります。建物の所有者、固定資産税の負担者、修繕費を誰が負担しているかも整理します。
家族の中では長年曖昧なまま使っていることが多いため、相続が発生してから資料を集めるより、生前に関係を整理しておく方がスムーズです。
貸家評価は実際に貸している状態が前提
国税庁の貸家建付地の説明では、借家権の目的となっている家屋の敷地が対象です。賃貸用として建てた家でも、課税時期に現実に貸し付けられていない場合は扱いが異なることがあります。
親族へ貸しているケースでも、『貸しているつもり』ではなく、課税時点の実態を確認することが重要です。
契約書だけでなく入出金記録も残す
賃貸借として運用するなら、契約書だけでなく家賃の振込記録、更新履歴、修繕費負担など実態を示す資料も残しておきます。現金手渡しだけで記録がないと、後から説明しにくくなります。
家族間だからこそ、税務目的で形だけ整えるのではなく、実際の運用と書類を一致させることが大切です。
節税だけで貸し方を決めない
相続税評価だけを目的に貸し方を変えると、家賃収入、所得税、管理責任、将来の売却しやすさなど別の問題が出ることがあります。
家族が住み続けるのか、将来売却するのか、賃貸事業として続けるのかを先に決め、そのうえで税務上の扱いを確認します。
具体的な評価は税理士へ確認する
使用貸借か賃貸借か、貸家建付地として評価できるかは、個別の事実関係で判断が変わります。相続が近い、評価額が大きい、複数の親族が関係する場合は、一般論だけで申告判断をしない方が安全です。
土地・建物の名義、家賃、契約書、固定資産税評価額などを揃えたうえで専門家へ相談すると話が早くなります。
一次情報も確認する
制度や設備の判断は、一般論だけで決めず一次情報も確認しておくと安全です。
費用や次の一手を決める
相続不動産は、名義・利用実態・売却予定が絡むと判断が複雑になります。何から整理すべきか分からない場合は、相続不動産の相談窓口を使って論点を整理する方法もあります。
空き家・相続・訳あり不動産をまとめて確認する
このテーマだけで判断せず、空き家の管理・相続・売却・活用をまとめて整理したい場合は、総合ガイドから関連テーマを確認できます。
Q&A
Q1. 親族に無料で貸すと貸家評価になりますか?
一般に無償の使用貸借では、第三者への賃貸と同じ貸家評価になるとは限りません。個別確認が必要です。
Q2. 少額でも家賃を取れば賃貸借ですか?
金額や実態を含めて判断されるため、少額の支払いだけで一律に決めることはできません。
Q3. 契約書があれば十分ですか?
契約書に加え、家賃の入出金や利用実態など、実際の運用と一致していることが重要です。
Q4. 相続税評価を下げるために今から貸してもいいですか?
税務以外の影響もあるため、節税だけで決めず、将来利用や売却計画も含めて専門家へ確認してください。
Q5. 税理士へ相談するとき何を用意しますか?
登記事項、固定資産税資料、契約書、家賃記録、建物と土地の名義が分かる資料を揃えると整理しやすくなります。
まとめ
大切なのは、目の前の症状や書類だけで判断せず、保有目的・費用・将来の出口まで含めて決めることです。必要な確認を先に済ませれば、空き家や不動産の管理負担を増やさずに次の判断へ進みやすくなります。

