修繕費と資本的支出はどう違う?賃貸の工事費を経費にする前の確認順

更新日:10月13日
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「賃貸のキッチンを直すのに50万円掛かった。全部今年の経費にできるんかな」。不動産を貸していると、屋根や水道などにまとまったお金が掛かりますよね。
でも、工事費を払ったからといって、全部がその年の経費になるわけではありません。元の状態へ直すためのお金か、建物の価値や使える期間を大きく増やすためのお金かを分けて考えましょう。
① 修繕費は建物を維持し元の状態へ直す費用
修繕費とは、通常の維持管理や元の状態に戻すための工事費などをいいます。例えば壊れた設備の修理や雨漏りした部分の補修が当てはまることがあります。
賃貸経営で必要な修繕費として認められるものは、原則としてその年の必要経費へ計上できます。だからこそ、どこが壊れ、何を直したのか説明できる記録が大切です。
同じ屋根工事でも、傷んだ部分を直すだけなのか、建物全体の性能を大きく変える工事なのかによって扱いが違う場合があります。名前だけでは決められません。
② 資本的支出は価値や使える期間を高める工事
建物に新しい機能を加えたり、使える期間を延ばしたり、価値を増やしたりする部分の支出は、資本的支出に当たる場合があります。
例えばもともとない設備を新たに設置する、間取りを大きく変えて用途を変えるといった工事では、資産として扱う部分が生じることがあります。
資本的支出は原則として資産に計上し、減価償却などの方法で期間を分けて経費にします。『リフォーム』という見積もりの名前だけで判定できるわけではありません。
③ 金額が大きいだけで全部資本的支出とは限らない
工事代が100万円だから全部資本的支出、という判断は正しくありません。工事の実際の内容を確認することが基本です。
国税庁の案内には、一つの修理などが20万円未満の場合や、おおむね3年以内の周期で行う工事などについて、修繕費として扱える基準があります。
20万円という数字だけを使って工事を分割したり、何でも修繕費にしたりすることは避けましょう。工事のまとまりと内容を確認する必要があります。
④ 区分が分かりにくい工事には別の基準もある
修繕費か資本的支出か判断しにくい場合、国税庁は一定の条件の下で60万円未満や資産の取得価額のおおむね10%以下などの取扱いを示しています。
ただし、この基準をすべての工事へ無条件に当てはめるのは正しくありません。明らかな性能向上部分や一体の工事があるかによって判断が変わります。
個人と法人の税務で参考にする案内も確認しましょう。難しい工事は見積書と写真を持って、申告前に税理士へ相談するのが安心です。
個人で不動産所得を申告する場合の修繕費・資本的支出の区分は、国税庁の説明を確認しましょう。
⑤ キッチン交換や外壁塗装は工事の中身を見る
壊れた水栓を元と同じようなものへ交換する場合と、キッチンを高性能な設備へ大きく変更する場合では、内容が違います。どこに新しい機能が増えたかを確認しましょう。
外壁塗装も傷みを直すための工事なのか、建物の価値や性能を高める部分があるのか、実際の施工範囲により判断が変わります。工事名だけで一律には決まりません。
見積書は『キッチン工事一式』だけでなく、撤去・補修・設備の交換などを分けてもらえると整理しやすくなります。工事前後の写真も残しておきましょう。
工事内容を正しく整理するには、修理と設備更新の範囲を分けた見積もりが役立ちます。
⑥ 税金の利益と通帳に残るお金は違う
100万円の工事代を今年すべて現金で払った場合でも、税の計算では複数年に分けて経費になることがあります。現金の支払いと帳簿の経費は別の数字です。
例えば工事後に家賃から毎月3万円残っていても、一度に100万円を払った年は手元の預金が減ります。税務上の扱いだけで資金計画を決めないようにしましょう。
賃貸経営では工事費の予備資金と、税金を払うためのお金を分けておくと安心です。工事代が高い場合は、発注前に支払う時期も確認してください。
法人の場合も工事の実質で区分します。税務上の考え方は公式案内で確認できます。
工事費が重い場合は、今の状態で保有するか売却するかを査定と比べる方法もあります。
⑦ 工事費の経費を確認する四つの順番
第一に、壊れた部分を直す工事か、新しい機能や性能を加える工事か確認します。
第二に、見積書の項目を分け、工事前後の写真と設備の情報を保存します。
第三に、国税庁の修繕費と資本的支出の案内を確認し、自分の工事で適用できる条件を確かめましょう。
第四に、金額や扱いに迷う場合は申告前に税理士へ相談します。今日できることは、工事の見積書に『修理』『性能向上』を分けて印を付けることです。
⑧ よくある質問
Q1. 100万円の屋根修理は必ず資本的支出ですか?
金額だけでは決まりません。工事の実際の内容や税務上の条件によって扱いが変わります。
見積書と工事の写真を確認しましょう。
Q2. 20万円未満ならどんな工事も経費にできますか?
国税庁に一定の取扱いがありますが、工事のまとまりや適用する条件を確認する必要があります。
支出を形式的に分割して判断しないようにしましょう。
Q3. 資本的支出になると工事費は経費にできませんか?
原則として減価償却などにより複数年に分けて経費となります。
自分の事業の税務に合わせて確認してください。
⑨ まとめ
不動産賃貸の工事代は、その年の経費となる修繕費か、資産として扱う資本的支出かで税の計算が違います。工事の名前や金額だけでなく、元の状態へ戻す工事か、価値を高める工事かを確認しましょう。
国税庁の案内と見積書・施工写真を使い、判断が難しい場合は税理士へ相談してください。税金の計算だけでなく、工事を払った後の預金も守ることが大切です。
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