親が認知症になる前にやるべき実家対策7選|空き家トラブルを防ぐために現役大家が解説

更新日:10月9日
親が高齢になり、実家をどうするか気になっても、売却や住み替えの話を切り出しにくいことがあります。けれども、家の管理や将来の希望を本人と共有しておくことは、後で家族が困らないための準備になります。
認知症と診断されたからすべての契約が直ちにできなくなる、と一律には言えません。重要な契約ではその時点の判断能力や必要な法的手続きを確認する必要があります。本人の意思を尊重することを出発点に考えましょう。
① 本人が実家をどうしたいか先に聞く
まず、今の家に住み続けたいのか、施設や子どもの近くへ移りたいのか、家を残したいのかを確認します。家族が費用面だけで結論を決めると、本人の希望とずれる場合があります。
将来の話を一度で決めようとせず、管理が難しくなった場合の希望も聞いておきます。話し合った日と内容を記録しておくと、家族間で認識を共有しやすくなります。
② 登記名義と権利関係を確認する
実家の登記名義が親本人とは限りません。祖父母名義のままだったり、夫婦や兄弟の共有になっていたりする場合もあるため、登記事項証明書で確認します。
住宅ローンや抵当権、境界の問題が残っていると、売却まで時間がかかる可能性があります。所有者の権利と家族の希望は分けて整理しましょう。
③ 重要書類と資金の管理方法を整理する
登記識別情報、固定資産税通知書、測量図、建築関係書類、保険証券などの保管場所を確認します。建物が古い場合は修繕履歴も分かる範囲で集めます。
書類や口座の管理については、本人のプライバシーと意思を尊重することが重要です。暗証番号を家族で共有するなどの安易な方法ではなく、必要な制度と権限を検討します。
④ 空き家になった場合の管理担当を決める
入院や施設入所で実家が空き家になれば、固定資産税、草木管理、換気、雨漏り確認などの負担が続きます。誰が現地を見回り、費用を支払い、緊急連絡を受けるか決めておきます。
離れて暮らす兄弟がいる場合は、作業と費用の分担を明確にしておきましょう。管理を続ける場合も、いつ方針を見直すか決めると放置を防ぎやすくなります。
⑤ 任意後見と法定後見の違いを知る
任意後見は、本人に十分な判断能力があるうちに、公正証書による契約で将来任せる事務などを決める制度です。本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所による任意後見監督人の選任で効力が生じます。
法定後見は、本人の判断能力の状況に応じて家庭裁判所が後見・保佐・補助などを判断する制度です。どちらも家族が自動的に何でも決められる仕組みではありません。
⑥ 売却・贈与・相続の条件を分ける
実家を売却する場合、本人の意思や契約時の判断能力が問題になります。診断名だけで一律に判断せず、必要に応じて司法書士や弁護士に相談しましょう。
成年後見人等が本人の居住用不動産を処分する場合は、家庭裁判所の許可が必要となる場合があります。施設入所で家が空いていても、以前の居住用不動産として該当することがあるため注意が必要です。
⑦ 家族が実家対策を始める確認順
まず本人の現在の希望と、将来住まい方が変わった場合の考えを聞き、家族で共有します。
次に登記・保険・修繕・固定資産税の資料をそろえ、管理する人と費用負担を明確にします。
本人が将来の財産管理をどう考えるかを確認し、任意後見などの制度の適合性を専門家へ相談します。
最後に現況査定と保有費用を比較します。本人の判断能力や法的権限に不明点がある場合は、売買契約を急がないようにします。
⑧ よくある質問
Q1. 認知症と診断されたら実家を売れない?
診断名だけですべての契約能力を一律に判断できるわけではありません。契約時の判断能力や必要な制度が問題になります。
本人の利益と意思を尊重し、専門家へ確認します。
Q2. 家族が代わりに売却の契約を結べる?
親族だからという理由だけで、本人の不動産を自由に処分する権限はありません。
代理権や後見制度、居住用不動産の処分許可などの条件を確認します。
Q3. 親が元気なうちに何を話すべき?
住み続ける希望、管理方法、将来の費用、売却や住み替えの考えを共有します。
名義と重要書類も本人と一緒に確認しましょう。
⑨ まとめ
親が元気なうちに進めたい実家対策は、早く売却を決めることではありません。本人の意思、名義、管理負担、家族の役割を整理することが出発点です。
判断能力が変化した場合の法的な手続きを理解し、管理する案と売却する案を焦らず比較しましょう。
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