満室なのに儲からない?築古アパートで見るべき家賃・修繕・返済・手残り

更新日:9月29日
満室と聞くと『運営がうまくいっている物件』に見えます。しかし、満室でも返済や修繕費が重く、手元に現金が残らない物件はあります。
見るべきなのは部屋が埋まっているかだけではなく、毎月いくら入り、固定費と返済を引いたあと、突発修繕に耐えられる現金が残るかです。満室率と収益性を分けて確認します。
▪️満室家賃ではなく実際の入金を見る
レントロール上の家賃合計と、実際の毎月入金は同じとは限りません。フリーレント、滞納、共益費の扱い、駐車場収入などを分けて確認します。
一時的な満室より、年間で何か月分の家賃が実際に入ったかを見ると、物件の安定度を判断しやすくなります。
▪️ローン返済後の残りを確認する
家賃収入が多くても、返済額が大きければ手残りは薄くなります。返済比率だけでなく、返済後に固定資産税や保険の積立まで残せるかを見ます。
表面利回りが高くても、融資条件が短期・高返済なら毎月の余裕は小さくなります。購入前は月次と年次の両方で確認します。
▪️修繕費は平均ではなく発生時期を見る
築古物件では給湯器、エアコン、外壁、防水、配管などが同じ時期に重なることがあります。年間平均だけで均すと、実際に現金が必要な月を見落とします。
修繕履歴と設備年式から、今後3年程度で起こりそうな支出を並べておくと、満室時の利益をどこまで残すべきか判断しやすくなります。
給湯器2台とエアコン3台が同じ年に重なれば、年間平均の修繕予算では足りなくなることがあります。設備ごとの年式を一覧にし、交換が重なる年を先に見つけます。
満室時に出た利益をすべて使わず、次の大きな修繕まで何か月分残すかを決めておくと、突発支出でも借入や持ち出しを減らしやすくなります。
▪️入退去費用も満室率に隠れる
現在満室でも、短期退去が多ければ原状回復、広告料、仲介手数料、空室期間が繰り返し発生します。満室率だけでは入替コストは見えません。
平均入居期間や退去理由を確認し、満室を維持するために毎年いくら使っているかを把握します。
▪️税金の前に現金収支を分けて見る
会計上の利益と現金の増減は同じではありません。減価償却など現金支出を伴わない費用がある一方、ローン元金返済は支出でも必要経費とは別に扱われます。
まずは家賃入金から実際の支出と返済を引いた現金収支を確認し、その後に税務上の所得を別に確認すると混同しにくくなります。
▪️家賃を下げて満室にする前に損益分岐を見る
空室を埋めるための値下げが長期間続くと、満室になっても年間収入は下がります。3,000円値下げと空室1か月の損失を比べるなど、期間を決めて判断します。
満室という見た目より、年間の手残りが増えるかで判断する方が収益改善につながります。
▪️売却時の出口も収益に含める
運営中の手残りが出ていても、土地値や売却需要が弱ければ出口で時間がかかることがあります。逆に手残りが薄くても、土地価値が高く出口が強い物件もあります。
保有中の収益と売却時の資産価値を分けて見ることで、満室だけでは測れない物件全体の強さが分かります。
購入前に返済・修繕・出口まで自分だけで整理しにくい場合は、物件単体ではなく投資計画として第三者に確認してもらう方法もあります。
▪️毎月見る数字を固定する
家賃入金、返済、管理費、修繕、広告費、税保険積立、手残りを毎月同じ形式で並べると、異常が早く見つかります。
満室率は重要な数字ですが、それだけを経営目標にしないことが築古アパートでは特に重要です。
例えば月30万円の家賃でも、返済13万円、管理・共用費2万円、税保険積立3万円、修繕積立4万円なら、残りは8万円です。ここから退去が1件出れば、満室時の数字だけでは見えない負担が出ます。
年間収支は12か月を通して確認します。繁忙期に満室でも、前年の空室月や原状回復費を含めれば実質的な収益力が見えやすくなります。
例えば家賃30万円の満室物件でも、返済13万円、管理・共用費2万円、税保険積立3万円、修繕積立4万円なら残りは8万円です。ここから1室の退去が重なるだけで、満室時の印象より余裕は小さくなります。
年間では入退去回数も確認します。同じ満室でも、毎年3室入れ替わる物件と5年間ほぼ退去がない物件では、広告料や原状回復費の負担が大きく違います。
月次表は複雑にしすぎず、家賃入金・返済・管理費・修繕・募集費・税保険積立・手残りの7項目程度でも十分です。同じ並びで続けることが異常値の発見につながります。
▪️よくある質問
Q1. 満室なら赤字にはならないですか?
満室でも返済、修繕、固定費、入替費用が重いと手残りが薄くなることがあります。
Q2. 何を毎月確認すればいいですか?
家賃入金、返済、管理費、修繕、募集費、税保険積立、最終手残りを同じ形式で確認すると把握しやすくなります。
Q3. 表面利回りだけではだめですか?
購入比較の入口には使えますが、実際の支出や融資条件を含まないため手残り確認が必要です。
Q4. 修繕費はいくら積み立てればいいですか?
建物状態や設備年式で異なります。過去履歴と今後の交換時期から物件ごとに考えます。
Q5. 満室を維持することは重要ではないですか?
重要ですが、値下げや広告費を使いすぎて手残りが減っていないかも同時に確認する必要があります。
▪️まとめ
築古アパートは、満室率だけで経営状態を判断できません。実際の家賃入金、返済、固定費、修繕、入退去費用、将来の出口まで分けて確認し、最終的に現金がどれだけ残るかを見ることが重要です。
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