会社員時代に個人で賃貸業を始めるなら|築古オーナーチェンジ戸建てという選択

会社員だった頃、不動産賃貸業を始めたいと考えても、いきなり大きなアパートを買うのは勇気がいると思います。仕事を続けながら物件を探し、管理し、毎月のお金を確認する。最初からすべてを上手にこなせるわけではありません。
そんな最初の一歩として、私が一つの選択肢だと考えているのが、個人名義での築古戸建て、特に入居者がいる状態で売り出される「オーナーチェンジ物件」です。
私自身、オーナーチェンジの戸建てを購入してきました。ただ、入居者がいるから安心、価格が安いからお得、と単純には言えません。買う前に確認しておきたいことが、意外と多いからです。
最初の1戸を個人名義で考える理由
一棟アパートと比べると、築古戸建ては比較的小さな金額から探せる場合があります。最初から法人を設立するのではなく、個人名義で物件を持ち、家賃の管理や経費の記録を経験していく方法もあります。
もちろん、個人名義だから必ず有利というわけではありません。資金調達、収入の状況、今後の物件取得計画によって判断は変わります。最初は「自分が管理できる規模か」を考えるのが大切だと思います。
オーナーチェンジ戸建ての魅力は、入居者がいること
オーナーチェンジとは、入居者が住んでいる賃貸物件を、賃貸借契約を引き継いで購入することです。空室の物件と違い、購入後すぐに家賃収入が発生する可能性があるのは大きな特徴です。
空室の築古戸建てなら、リフォームをして入居募集をするまで、家賃が入らない期間があります。一方、入居中の物件では、現に住んでくれている人がいます。最初の賃貸経営で入居者募集の負担を減らせる場合があるのは、魅力の一つでしょう。
ただし、実際の家賃の入金状況、滞納の有無、管理会社との契約などを確認せず、「満室だから安心」と決めつけるのは危険です。
一番怖いのは、入居中だから見えない部分
オーナーチェンジの戸建てでは、入居者の生活があるため、購入前に室内を自由に確認できないこともあります。建物が古ければ、退去後に給排水設備や床下、雨漏りなどの不具合が見つかる可能性も考えておきたいところです。
外から見える屋根や外壁、基礎、雨樋だけでなく、過去の修繕履歴や設備交換の記録を確認できるかが大切になります。内覧できない部分は「問題がない」と判断するのではなく、確認できないリスクとして収支に織り込む必要があります。
戸建ては1世帯の賃貸です。退去すれば、その物件の家賃収入はゼロになります。次の入居に向けた修繕と募集費用まで考えておくことが欠かせません。
契約・敷金・家賃の引き継ぎを確かめる
入居者が住んでいる状態で建物を買うと、通常は貸主の立場や賃貸借契約上の権利義務も引き継ぎます。購入したからといって、すぐに家賃を上げたり、自由に退去してもらったりできるわけではありません。
購入前には、賃貸借契約書、現在の賃料、支払状況、保証会社の利用状況、敷金の返還義務や売買時の精算内容などを確認したいところです。長く入居されている物件ほど、現在の募集家賃と契約家賃に差がある可能性もあります。
書面で確認できること、売主や管理会社に確認しなければ分からないこと、購入前には確認できないこと。この三つを分けて整理するようにしています。
築古戸建ては、建物だけでなく土地も見る
安い築古戸建てを見つけると、どうしても家賃と価格に目が向きます。でも、長く持つなら出口も大切です。
道路との接し方、再建築の可否、境界、駐車場、上下水道、ハザード情報。退去後に貸し直す場合だけでなく、将来売却する際にも関わってくる点です。
建物が古いからといって、すぐに取り壊せばよいわけでもありません。解体費用がかかり、土地の条件によっては建て替えにも制限があります。家賃が入る間だけでなく、その後どうするかまで考えて購入したいと思っています。
賃貸業を始めると、税金の考え方も変わる
個人で家を貸して家賃を得ると、原則として不動産所得の計算が必要になります。家賃などの収入から、賃貸に直接必要な経費を差し引いて所得を計算する仕組みです。固定資産税、保険料、一定の修繕費、建物の減価償却費などが関係します。
会社員だった頃の給与所得と、個人の不動産所得を合わせて考える場面も出てきます。不動産所得に赤字が生じた場合、一定の条件では給与所得などと損益通算できるため、税負担の軽減につながる可能性があります。
ただし、物件を買っただけで税金が安くなるわけではありません。土地の取得に対応する借入金利子に関する損益通算の制限もあります。借入金の元金返済はそのまま必要経費になるわけではなく、修繕工事も内容によっては一度に経費にできず、資本的支出として扱う場合があります。
節税につながるのはうれしいことですが、それだけを目的に物件を買うのは少し違うかなと思います。家賃が入っても、修繕や返済でお金が出ていくことはあります。やっぱり、無理なく賃貸業を続けられるかが大切ですね。





