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近隣トラブルのある空き家は売れない?告知・境界・騒音を整理する5つの売却判断

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 4月5日
  • 読了時間: 13分

更新日:8月21日


空き家を売りに出した。

問い合わせも入った。

内見までは進んだ。

ところが、その後なぜか断られる。

不動産会社から、

「隣の方との関係が少し気になりますね」

と言われることがあります。

旧記事では、

「近隣トラブルは致命的」

「購入者は絶対に避ける」

「裏で嫌われている」

「人の問題は逃げられない」

とかなり強く説明していました。

ここは全面的に整理します。

近隣トラブルがあるから空き家が売却できなくなるわけではありません。

さらに、

昔一度苦情を受けた。

隣人と挨拶しない。

境界について意見が違う。

騒音や悪臭が現在も続いている。

隣人から継続的に強い要求を受けている。

では、同じ「近隣トラブル」でも内容がまったく違います。

重要なのは、

人間関係が良いか悪いかではなく、買主が取得したあとも影響する具体的な問題が残っているか

を整理することです。

※本記事には広告・PRを含みます。


▪️結論|近隣トラブルは「ある・ない」ではなく5つに分ける

売却前に整理したいのは次の5つです。

・境界、越境、私道など不動産の権利に関係する問題


・庭木、雑草、落ち葉など空き家管理から起きた問題


・騒音、悪臭、ゴミなど周辺環境の問題


・隣人との個人的な感情や過去の口論


・現在も継続している要求、紛争、裁判など

この5つを全部、

「隣人と揉めています」

とまとめないことが重要です。

例えば空き家所有者が草刈りをしていなかったため苦情を受けたものの、現在は草刈りを行い解決している。

それと、

境界位置について双方の主張が食い違い、現在も話し合いが続いている。

では買主への影響が違います。

まず事実を分ける。次に継続性を見る。そのあと売却への影響を判断する。

この順番です。

空き家管理そのものから近隣クレームが起きるケースはこちらへ役割を分けています。


▪️最大の訂正|「近隣トラブル=必ず告知義務」ではない

旧記事では、

「説明しにくい」

「隠すとトラブル」

とだけ書いていました。

ここはもう少し正確に考える必要があります。

近隣住民とのトラブルについて、

どんな小さな出来事でも全国一律に買主へ告知しなければならない、という単純なルールではありません。

一方で、買主の購入判断へ大きく影響するような具体的・継続的な問題を売主や仲介会社が把握している場合には、説明の有無が後から争われる可能性があります。

実際の裁判例を見ても判断は一律ではありません。

重大な近隣トラブルについて説明義務違反が認められた事例がある一方、

近隣トラブルが存在したこと自体を裏付ける証拠がなく、買主の請求が認められなかった事例もあります。

つまり、

「近所と一度揉めた=心理的瑕疵」

でも、

「人間関係だから何も言わなくていい」

でもありません。

売却時には、

・何が起きたのか


・いつ起きたのか


・何回あったのか


・現在も続いているのか


・警察、行政、弁護士などへの相談歴があるか


・書面やメールなど記録が残っているか

を不動産会社へ伝え、個別に説明範囲を整理します。


▪️判断①|境界トラブルは「人間関係」ではなく土地条件として扱う

近隣トラブルの中でも、売却実務へ直接影響しやすいのが境界です。

例えば、

・境界杭の位置について双方の認識が違う


・ブロック塀が境界を越えている可能性がある


・雨樋や屋根が越境している


・隣家の設備が敷地へ入っている


・こちらの建物が隣地へ越境している

という状態です。

これは単に、

「隣人と仲が悪い」

という話ではありません。

買主が取得する土地の範囲や将来利用へ影響する問題です。

だから先に、

・公図


・地積測量図


・過去の測量資料


・境界標


・越境に関する覚書

などが残っていないか確認します。

ただし、

「隣人が境界確認に協力しない=絶対に売却できない」

とも限りません。

境界未確定の状態で取引する方法が検討されることもありますし、測量や契約条件によって整理できる場合もあります。

人間関係の問題と境界問題を混ぜないこと。

ここが重要です。


▪️隣人が測量に協力しないから「何もできない」とも限らない

境界確認で、

「隣の人が敷地に入ることすら認めてくれない」

というケースがあります。

2023年4月1日に施行された改正民法では、相隣関係のルールも見直されています。

現在の民法209条では、土地所有者は一定の目的のため必要な範囲で隣地を使用できることが明確化されています。

対象には、

・境界付近の工作物の築造、修繕、収去


・境界標の調査


・境界に関する測量


・一定の場合の越境枝の切取り

などがあります。

ただし、

自由に隣地へ入ってよい制度ではありません。

原則として使用目的・日時・場所・方法を事前に通知し、相手への損害が最も少ない方法を選ぶ必要があります。

また、住家そのものへ入るには居住者の承諾が必要です。

さらに、この制度があるからといって、隣人へ境界位置そのものへの同意を強制できるわけでもありません。

「隣人が嫌と言えばすべて終了」

でも、

「法律があるから勝手に測量できる」

でもないということです。


▪️判断②|庭木の越境は2023年の民法改正を踏まえて整理する

空き家で非常に多いのが庭木の問題です。

例えば、

・枝が隣家へ伸びている


・落ち葉が隣地へ落ちる


・木が大きくなり日当たりへ影響している


・根が境界を越えている

という状態です。

以前は、

「隣の土地へ伸びた枝でも勝手に切れない」

という説明がよくされていました。

基本原則として、現在もまず竹木の所有者へ枝を切除させる考え方です。

ただし2023年4月1日施行の改正民法233条では、一定の場合に、越境された側の土地所有者が枝を切り取れるようになりました。

例えば、

・所有者へ切除を求めたが相当期間内に対応しない


・竹木所有者やその所在が分からない


・急迫の事情がある

場合です。

一方、これを理由に、

「隣人が勝手に木を全部切っていい」

という話でもありません。

対象はあくまで条件を満たした越境枝です。

売却する側としては、法律論になる前に、

自分の空き家から隣地へ越境している枝や草木があるなら、販売前に状態を確認する

方が話は早くなります。


▪️判断③|騒音・悪臭・ゴミは「誰が原因か」と「今も続くか」を分ける

次に確認したいのが周辺環境です。

例えば、

・隣家から継続的な大音量が聞こえる


・近隣施設から臭いが発生する


・隣地に大量のごみがある


・路上駐車が常態化している


・夜間だけ大きな音がする

というケースです。

これも、

「近所がうるさい」

だけでは判断しにくいでしょう。

可能な範囲で、

・曜日


・時間帯


・頻度


・発生源


・現在も継続しているか


・行政や警察などへ相談したことがあるか

を整理します。

特に売主自身が空き家から離れて暮らしている場合、

「親から昔聞いた」

という情報と、

現在確認できる事実。

を混ぜないことが重要です。

昔の話を現在進行形のトラブルとして断定しない。逆に現在続いている問題を昔の話として隠さない。

この線引きをします。


▪️判断④|空き家所有者が原因のクレームなら、売る前に解消できることがある

近隣からの苦情すべてが、買主へ引き継がれる問題とは限りません。

例えば、

・雑草が伸びていた


・庭木が越境していた


・落ち葉が大量に飛んでいた


・郵便物が散乱していた


・空き家の一部が壊れていた

ことに対する苦情なら、所有者側で改善できる可能性があります。

草を刈る。

枝を剪定する。

ごみを片付ける。

壊れた部分を安全な状態にする。

必要な対応をしたあと、問題が解消しているなら、

「以前クレームがあった」という事実と「現在も生活上の問題が続いている」という状態は同じではありません。

この違いは大きいです。

逆に何年も放置し、隣人から何度連絡されても対応していなければ、売却時の境界確認や現地対応まで難しくなることがあります。

売る直前だけではなく、管理段階から悪化させないことが重要です。


▪️判断⑤|感情的な不仲と、具体的な紛争を分ける

相続した実家では、

「父と隣のおじさんは昔から仲が悪かった」

「母が隣の人を嫌っていた」

という話を聞くことがあります。

しかし、

仲が悪かったという感情だけで、その空き家が売れない物件になるわけではありません。

見るべきなのは具体的な事実です。

例えば、

・現在も金銭請求を受けている


・境界について双方の主張が違う


・越境撤去を求められている


・通行について争っている


・警察や裁判所を介した争いになっている

なら、売却へ影響する可能性があります。

一方、

昔口論した。

挨拶をしない。

親同士の相性が悪かった。

というだけなら、それと現在の不動産条件を分けて考えます。

「隣人が怖そう」という印象ではなく、何が起きているのかを事実に変換する。

これが近隣問題を整理するときの基本です。


▪️内見後に断られるなら、本当に近隣トラブルが原因か確認する

旧記事には、

「内覧後に断られる」

「理由を言われない」

「つまり裏で嫌われている」

という説明がありました。

これは飛躍しています。

内見後に断られる理由には、

・価格


・建物状態


・臭い


・駐車場


・道路


・日当たり


・間取り


・周辺環境


・近隣住宅の状態

などさまざまな可能性があります。

だから不動産会社へ、

「内見した方は何が気になったと言っていましたか?」

と確認します。

もし複数の内見者が、

「隣地との境界が気になる」

「隣からの音が気になった」

と同じ理由を挙げているなら、近隣条件が売却障壁になっている可能性があります。

逆に近隣について誰も問題にしていないのに、

所有者だけが「昔揉めたから売れない」と思い込んでいる可能性もあります。

価格を下げる前に、売れない原因を確認しましょう。


▪️「近隣トラブルだから○割値下げ」という相場はない

旧記事では解決策として、

「価格で調整」

としていました。

価格調整が必要な物件はあります。

しかし、

騒音なら2割。

境界なら3割。

隣人問題なら半額。

という全国共通の基準はありません。

例えば境界問題でも、

測量で簡単に整理できる。

越境覚書がある。

長年争っている。

裁判中。

では影響が違います。

近隣問題以外の土地・建物条件も価格へ影響します。

だから最初から、

「訳ありだから500万円下げる」

と決めるのではなく、現在の状態で査定を比較します。


▪️売却前に「全部解決してから」と考えなくてもいい

近隣問題を見つけると、

「隣人と完全に仲直りしてからでないと売れない」

と思うかもしれません。

しかし、不動産売却で必要なのは人間関係を修復することではありません。

必要なのは、

・権利関係を整理する


・現在の問題を把握する


・解消できる問題は解消する


・未解決事項を記録する


・必要な事項を買主へ適切に説明する

ことです。

隣人と親しくなる必要はありません。

境界が整理されている。

越境条件が明確になっている。

管理上の迷惑が解消している。

現在の事実を説明できる。

という状態なら、売却を進められる可能性があります。

「仲直り」と「売却可能な状態にすること」は別です。


▪️解決できない近隣問題が残るなら、一般仲介と現状買取を比較する

中には、

境界争いが長期化している。

越境を解消できない。

私道や通行について揉めている。

継続的な近隣問題がある。

という空き家もあります。

その場合、一般の居住用買主だけを探し続けると時間がかかる可能性があります。

そこで、

一般仲介で条件を開示して売る方法

事情を把握した事業者へ現状で売る方法

を比較します。

専門買取なら必ず高く売れるわけではありません。

一般仲介より価格が低くなる可能性があります。

それでも、

長期間の販売。

境界調整。

管理費。

草刈り。

近隣対応。

などにかかる時間と費用まで含めれば、比較する意味があります。


▪️近隣トラブルのある空き家は、この順番で売却準備する

迷ったら次の順番で整理します。

① 何が起きたのか書き出す

噂や感情ではなく、具体的な出来事を整理します。

② 現在も続いているか確認する

過去に解決したことと、継続中の問題を分けます。

③ 土地・権利に関係する問題を分ける

境界・越境・私道などは、人間関係ではなく不動産条件として確認します。

④ 記録を集める

測量資料、覚書、メール、行政への相談記録などがあれば整理します。

⑤ 不動産会社へ事実を伝える

どこまで説明するべきかを売主だけで決めず、取引実務として確認します。

⑥ 現状価格を確認する

解決費用や値下げを先に決めず、現在いくらで売れるかを確認します。

これなら、

「隣人と揉めたから価値ゼロ」

でも、

「昔のことだから全部黙って売る」

でもありません。


▪️まとめ|近隣トラブルで売れない空き家は「人が怖い」ではなく事実を整理して売る

旧記事では、

「家は変えられるが隣人は変えられない」

「購入者は絶対に避ける」

「近隣トラブルは致命的」

というかなり強い結論でした。

しかし実際の不動産売却は、そこまで単純ではありません。

まず、

・境界や越境など土地の問題なのか


・空き家管理から発生した苦情なのか


・騒音や悪臭など現在の環境問題なのか


・昔の個人的な不仲なのか


・現在進行形の具体的な紛争なのか

を分けます。

さらに2023年の民法改正では、境界測量のための隣地使用や越境枝の切取りなど、相隣関係のルールも見直されています。

一方で、

「法律が変わったから隣人の協力は一切不要」

ということでもありません。

そして近隣問題の告知についても、

すべて告知が必要

とも、

人間関係だから告知不要

とも一律には言えません。

内容・継続性・取引への影響を整理し、不動産会社と説明方法を確認することが重要です。

近隣トラブルのある空き家で最も避けたいのは、感情だけで大幅値下げすることと、問題を曖昧なまま売却することです。

事実を整理する。

解決できる部分は解決する。

残る条件を明確にする。

その状態で価格と売却先を比較する。

これが、近隣トラブルを抱えた空き家を売却するときの現実的な進め方です。


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