民泊市場は飽和している?今後の将来性と成功するためのポイントを解説

更新日:10月9日
『民泊はもう飽和した』という話を聞いても、日本全国の民泊市場を一つの数字で判断することはできません。宿泊需要のある地域でも競合施設が増えれば予約が分散し、需要の弱い地域では魅力的な内装だけで収益を維持するのは難しくなります。
2026年時点の公的な届出件数や宿泊実績を確認すると、市場の大きさは把握できます。ただし、全国の数字だけで特定の物件が黒字になるとは分かりません。この記事では『飽和しているか』を地域単位で考える順番を整理します。
① 2026年の民泊届出数を正しく読む
観光庁が公表する2026年9月15日時点の住宅宿泊事業の累計届出件数は67,932件、そのうち廃止件数は24,895件です。差し引いた届出住宅数は43,037件となっています。
累計届出件数を、そのまま現在営業している住宅数と取り違えてはいけません。廃止された届出を除いた現在の住宅数や地域分布を確認する必要があります。
この数字は住宅宿泊事業法に基づく届出の集計です。旅館業法の許可を受けた簡易宿所など、宿泊施設のすべてを同じ対象として数えているわけではありません。
② 宿泊実績と稼働率を混同しない
観光庁による2026年6~7月の住宅宿泊事業の実績集計では、延べ宿泊者数は全国で1,627,034人泊、前年同期比131.2%と公表されています。これは届出住宅に関する定期報告の集計です。
報告率は85.0%とされ、すべての施設について同じ期間に完全な報告がそろった数字ではありません。また『人泊』は宿泊者数と宿泊日数を反映した指標であり、客室稼働率や一施設あたりの営業利益を示すものではありません。
人数が伸びたから個別施設の収益が増えたとは限りません。宿泊単価・利用人数・清掃費などは別に調べる必要があります。
③ 全国の宿泊統計と民泊は別の集計
2026年8月の観光庁の宿泊旅行統計調査では、宿泊施設全体の延べ宿泊者数は6,268万人泊、前年同月比6.7%減と発表されています。この統計は民泊の住宅宿泊事業の届出実績と対象が異なります。
異なる統計を単純につなぎ合わせて『民泊が伸びた』『民泊が縮小した』と結論づけることはできません。市場を見る際は、どの宿泊施設を対象にした数字なのか確かめることが重要です。
インバウンドが多い地域か、国内旅行中心か、出張需要があるかによっても季節ごとの利用状況は変わります。
④ 飽和は地域・宿泊者層・価格帯で考える
近隣に民泊が十施設あっても、それぞれの間取りや宿泊者層が違えば直接の競合とは限りません。一方、同じ人数を受け入れる一棟貸しが短期間で増えれば、予約獲得の競争が強まる可能性があります。
観光地への交通手段、駐車場、寝室数、長期滞在向け設備などを見て、比較すべき宿泊施設を絞ります。高い宿泊単価だけでなく、平日と閑散期の予約状況も確認しましょう。
予約サイトの空き表示だけで稼働実績を断定できないため、公開統計や地域の宿泊事業者の情報と合わせて判断します。
⑤ 予約が増えても利益が増えるとは限らない
仮に一泊1万5,000円で月15泊なら売上は22万5,000円です。予約サイト手数料2万円、清掃・リネン4万円、光熱消耗品2万円、管理代行費3万円、家賃8万円とすると、支出合計19万円で納税前の差額は3万5,000円です。
この計算には修繕、家具の交換、保険、開業費の回収などを含めていません。予約数が増えるほど清掃費が増える場合もあり、売上の多さが必ず利益につながるわけではありません。
同じ条件で宿泊単価を下げた場合、清掃費が増えた場合、予約が減った場合の三つを試算すると、無理な値下げを避けやすくなります。
⑥ 営業日数と自治体ルールを最初に確かめる
住宅宿泊事業には原則として年間180日以内の営業日数制限があります。自治体条例による区域・期間の制限などもあり、人気エリアだからといって年間を通じて自由に営業できるとは限りません。
消防・建築の条件、管理規約、賃貸借契約の転貸可否、住宅宿泊管理業者への委託が必要な場合なども確認しましょう。旅館業許可での営業とは条件が異なります。
収益シミュレーションは、実際に営業できる日数と費用を確認した後に作ることが重要です。
市場データの一次情報(閲覧時点を確認してください)
⑦ 民泊市場へ参入する前の停止条件
全国の届出件数だけで『飽和』『成長』を決めず、対象エリアの供給施設と宿泊者層を調べます。
年間の宿泊需要と季節差が分からない場合は、繁忙期の単価だけを使って売上を見積もりません。
営業日数や自治体条例、建物・消防の条件を確認できなければ、物件購入と大規模改装を進めないようにします。
最後に清掃・管理・手数料・修繕・税金を差し引き、価格競争や低稼働でも継続できるか判断します。撤退時の違約金や賃貸転用も事前に比較しましょう。
⑧ よくある質問
Q1. 2026年の民泊市場はすでに飽和している?
全国の届出件数だけでは飽和を判断できません。地域の競合、宿泊需要、料金帯、営業条件を分けて確認する必要があります。
市場が拡大していても、自分の物件が利益を残せるとは限りません。
Q2. 宿泊者数が増えたら民泊は儲かる?
宿泊者数の増加と個別の宿の売上・利益は別の問題です。
宿泊単価、稼働、清掃費、管理費を合わせて収支を計算します。
Q3. これから参入するなら最初に調べることは?
立地の宿泊需要と競合、営業可能な日数、消防・建築・自治体の条件です。
初期費用と低稼働時の現金収支まで確認してから契約しましょう。
⑨ まとめ
2026年の公的な宿泊実績から民泊市場の規模と動向を確認できますが、全国の数字だけで一つの地域の収益性は決められません。届出累計と現在の届出住宅数、宿泊者数と稼働率も区別しましょう。
宿泊需要・競合・合法的な営業条件・コストを物件ごとに比較し、必要なら通常賃貸や撤退まで含めて検討することが大切です。

