地方で実家の活用案が決まらない理由

更新日:10月9日
親の実家が空いたとき、売るか貸すか残すかを家族で話し合っても結論が出ない場合があります。誰かが将来住むかもしれない、修繕して貸せるかもしれないなど、選択肢が多いほど話し合いが止まることもあります。
大切なのは、最初から活用方法を一つに決めることではありません。誰がいつ使うのか、建物はどの程度直す必要があるのか、管理費はいくらかをそろえてから比較しましょう。
① 家族の希望と利用予定を分けて聞く
実家を残したいという希望と、実際に住む予定があるという話は別です。いつ、誰が、どのくらいの期間使うのかまで確認すると、必要な修繕や保有期間が見えてきます。
兄弟姉妹の意見が違う場合は、どちらかを説得する前に、住む・管理する・費用を払う・売却の同意をする人を整理しましょう。
親が存命で所有している場合は親の意思や判断能力が関係します。相続後でも名義や遺産分割の状況により自由に処分できるとは限りません。
② 建物の傷みと安全上の対応を先に確認
活用方法を決めるためには、雨漏り、構造部の傷み、設備の動作、接道、駐車場を把握する必要があります。ただし古い家だから必ず使えないわけではありません。
危険な外壁や倒木がある場合は、売却するかどうかの結論を待たず安全に必要な対応を検討します。一方、見栄えのための全面リフォームは先に決める必要がありません。
建築の専門家へ調査を頼む場合は、調べる範囲と見積額を確認しましょう。
③ 保有を続けるなら年間費用をそろえる
固定資産税、保険、草刈り、見回り、電気や水道の基本料金、交通費などを一年度で合計します。建物を使わない年でも支出が続く場合があります。
仮に税金5万円、保険3万円、草刈り4万円、その他点検・交通費3万円なら年間15万円、五年間で75万円です。臨時の修繕費は含まない説明用の試算です。
利用予定が未定なら、何年間まで保有するかと、その間の管理費を誰が負担するか決めておきます。
④ 賃貸できるかは家賃と工事費を同時に調べる
実家を貸す場合は、周辺で成約が見込める家賃や、設備・間取り・駐車条件を調べます。賃貸に出せると感じても、入居が決まるとは限りません。
仮に月額5万円で貸せても、改修費180万円なら満室家賃だけで単純回収に三年かかり、空室や維持管理、税金を含めればさらに長くなる可能性があります。
賃貸するなら修繕義務や入居後の設備対応も必要です。リフォーム費だけでなく貸した後の管理を続けられるか確認しましょう。
⑤ 現況売却と解体後の手残りも見る
古い実家でも建物付きの現況で買主が見つかる可能性があります。全面リフォームや解体に先立ち、現在の状態で査定を受ける方法があります。
更地にした方が価格が高くても、解体費や片付け代、税負担を差し引くと現況で売る方が現金が残る場合があります。どちらがよいかは立地と買主の条件によります。
相続関係や建物の不具合など、買主へ正確に伝えるべき点を整理しておきましょう。
⑥ 決まらないときは期限付き保有も選択肢
家族の判断が難しいときは、一年間など保有期間を決めて必要な管理を続け、その間に資料を集める方法もあります。すぐ売らないことと放置することを混同しないようにします。
保有する間は点検担当と年間予算を決め、賃貸需要や現況査定の情報が集まったら再度話し合いましょう。
危険箇所や登記手続きの期限がある場合は、活用方針の決定を待たず別に対応する必要があります。
⑦ 家族が活用案を決める四つの確認順
まず誰が所有者で、誰がいつ実家を使う予定かを家族で確認します。
次に安全上の問題と必要な修繕、現在の管理費を整理し、五年間保有する場合の負担を把握します。
賃貸家賃と改修費、現況売却額と解体費を別々に調べ、同じ手残りの基準で比較します。
最後に判断がまとまらなければ期限付き保有と管理担当を決め、次回の家族会議の日を設定しましょう。
⑧ よくある質問
Q1. 実家はすぐ売るか貸すか決めるべき?
利用予定と建物の安全、管理費を確認しながら判断できます。危険箇所への対応と売却の結論は分けて考えます。
保有する場合も期限と担当者を決めましょう。
Q2. リフォームしてから賃貸を募集するべき?
賃貸需要が弱い地域で先に大きな改修費を使うと回収が難しくなる場合があります。
見込める家賃と必要工事の見積もりを比較しましょう。
Q3. 家族で意見がまとまらないときは?
利用希望と権利関係、費用負担の違いを整理することが重要です。
必要なら司法書士や弁護士等へ相談し、次に話す日を決めます。
⑨ まとめ
地方の実家の活用案が決まらないときは、売却・賃貸・保有という選択肢を増やすだけでは前に進めません。家族の利用予定、建物の状態、年間管理費をそろえることから始めましょう。
現況売却、賃貸改修、期限付き保有の費用と条件を比較し、誰が何をいつ確認するか決めることが判断を進める第一歩です。

